インスタで続けてきた妄想クリスマス、ハワイ王族のクリスマス。

史実と私の妄想を行ったり来たりのストーリーにお付き合いいただきありがとうございます。

そしてこちらもインスタで投稿してきた「ナヒエナエ王女の物語」。

その最終章。

ダブルで企画でお届けします。

兄と妹、ふたりのクリスマスです。

✴︎

「起こしてしまったね」

兄は妹の黒く長いまつ毛が呼吸とともに小さく波打つのを見つめていた。

「あぁ、お兄さん」

妹は兄の来訪に応えようと体を起こそうとした。

「そのままで構わないよ」

「ええ、でも気分がいいの。少し起きてみたいわ」

妹が体を起こすと兄はその背中にクッションを置いた。

また痩せてしまったように思える。

「あなたが好きなものを持ってきたよ。食べるかい?」

「ありがとう。でもあとでいただくわ」

9月のあの日から妹はずっと寝たきりになってしまった。

何人もの医者に診せたが妹を回復させることは出来なかった。

ハワイ王家に生まれた兄妹。

兄・カメハメハ3世、妹・ナヒエナエ王女。

高貴な血筋を残すために、幼い頃から聖婚を約束されていたふたりだった。

早くに両親を亡くしたふたりには兄妹以上の絆があった。

「今日はクリスマスね」

妹は小さな頃からクリスマスが好きだった。

クリスマスはキリスト教のお祝い。

ハワイにキリスト教が入ってきて、ハワイの宗教観は激変し、宗教のみならず、慣習や伝統までも変わろうとしている。

そしてこの兄と妹の愛を引き裂いたのもキリスト教であった。

今夜は月もなく、いつもにも増して星の輝きが美しい。

兄妹はしばらく星の瞬きを見つめていた。

ナヒエナエ王女は9月に男の子を出産した。

ハワイ王国の次代を担うプリンスの誕生だったが、数時間でその命の火は消えてしまった。

キリスト教では許されない兄妹の結婚での誕生、しかしハワイの王族の歴史では最高ランクの血統の誕生。

父・カメハメハ3世、母・ナヒエナエ王女。

ふたりはカメハメハ大王と、大王よりも高貴であったといわれるケオプオラニ妃の子供。

待望のプリンスの誕生の喜びから、我が子の死の落胆。

母・ナヒエナエは心も体も立ち直ることが出来なかった。

愛する兄王との結婚も許されず、なんの希望も持てない日々が続き、生きる気力も尽きかけていたクリスマスの夜。

無数の星を見上げる、まだどこか幼さの残る横顔に久しぶりに戻った微笑みを兄はただ見守ることしかできなかった。

それから5日後、12月30日。ナヒエナエ王女、逝去。

21年の短い生涯を閉じたプリンセスだった。

✴︎✴︎✴︎

ラハイナのワイオラ教会にナヒエナエ王女は眠っています。

プリンセスが生きた時代から200年ほど経ちましたが、その教会の場所は彼女が生きた時代からそれほど景色が変わってはいないのではないかと思われるほど、とても静かで美しい場所です。

母や夭逝したプリンスとともにナヒエナエ王女はそこで静かに眠っています。

プリンスはもしかしたらカメハメハ3世の子供ではないのかもしれないという話もあります。

ナヒエナエ王女は教会のすすめで別の男性王族と結婚していました。

この方はとても優しく、ナヒエナエ王女も一時期は幸せな結婚生活を送っていたようですが、私はナヒエナエ王女が本当に愛していたのはカメハメハ3世だったと思っています。

カメハメハ3世もとてもナヒエナエ王女のことを愛していて、彼女との仲がうまく行かなくなった時に自殺未遂をしています。

ナヒエナエ王女の死後も彼女の墓地の近くで長年暮らしていました。

もし、ハワイにキリスト教が入ってくるのが10年遅かったら、ふたりの運命は違っていたのかもしれません。

楽園・ハワイにはかつて王国があり、カメハメハ大王の息子と娘には歴史ではあまり語られることのないロマンスがあったことを、今回お伝え出来たら嬉しいです。


気分はハレクラニ!

こたつにみかん、にも使えそうですね。

特別な日の特別なマウイワイン。

ママとベビーとハワイが好きなひとのための除菌。

ハワイを感じるマスクチャームで楽しいマスクライフ。

今日のクリスマスソングはこちらです。
ナレオのクリスマスソング🎶

今日も長々お読みいただきありがとうございました!!

mahalo!!

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